東京五輪の聖火リレーが19日、宮城県内で始まった。東日本大震災で被災した沿岸部を中心に3日間で281人が聖火をつなぐ。
この日、聖火ランナーとして走り終えた宮城県石巻市の会社員鈴木典行さん(56)は夕方、その足で、津波で被災した旧大川小学校の前に立った。「走ってきたぞ」。次女真衣さん(当時12)があの日、自宅に置き忘れた名札を身につけ、トーチを掲げた。
東日本大震災の津波に襲われた旧大川小では、当時6年生だった真衣さんら児童74人が犠牲・行方不明になった。震災翌々日に保護者たちが土砂の中から子どもたちを運び出すなか、鈴木さん自身が山すそで真衣さんを見つけ出した。コーチを務めていたミニバスケットボールチームの子もいた。
鈴木さんはその後、「大川伝承の会」共同代表として他の遺族らとともに語り部活動を続け、防災意識の大切さを語っている。
ランナーに応募したのは、「子どもたちが犠牲になったことを忘れないでほしい」という思いからだ。
旧大川小はコースからそれてはいたが、「自分で行けばいい。真衣と子どもたちにトーチを見せ、みんなで走ろう」と考えた。
この日朝、真衣さんと一緒に…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル